嵐の気仙沼 ― 2009年12月15日 14時36分51秒

先月23日の午前中、奥多摩方面にカミさん子供が出かけたあとに洗濯物をたたんでいたときのこと、天気予報でもやっていないかと何とはなしにつけていたテレビでNHKのドキュメンタリーが始まった。タイトルは「嵐の気仙沼〜宮城・港町の特別な一日〜」というもので、NHKの地方局が作ったもののようだった。昭和の頃には活気にあふれていたが今はその影もない気仙沼の漁港。しかし今でも台風が日本近海に来る日だけは、三陸沖の漁場から避難してくる日本中の漁船で大にぎわいをみせるというのだ。一晩に漁港の町にしては膨大なお金が落ちるらしい。それを逃すまいと奔走し、お帰りなさいと漁師を迎える町の人々。つかの間の陸地で羽(この場合はヒレかなあ)を伸ばす漁師たち。外国人研修生。そして久しぶりの逢瀬を楽しむ恋人たち。台風がすぎてしまうまでのそのわずかな間に、漁港ならでは、漁師たちならではの人間ドラマが展開する。複数のカメラを使って、収録は町の各地で同時進行だったとか。洗濯物をたたむ手がすっかり止まって、画面に釘付けになった。面白い! これは視聴率に縛られコストカットのことしかアタマにない民放地上波には決して作れない番組なのではないだろうかと思った。台風が去って恋人が漁に戻る時、港にけして見送りには行かないという彼女の理由………これにはもういとおしくてかわいくてキュ〜ンとなった。
そしてその番組がこの木曜日17日の午後8時にNHK総合で再放送される。堂々ゴールデンタイムに再オンエアされるということからもこの番組の評価が伺い知れると思う。損はさせません。ぜひ見てください。いっぺんでいいからぜひ見てください。見てください。ください。「フルモンティ」や「ブラス」なんかの映画が好きだった人にはさらにお薦めします。もちろんあそこまでドラマチックじゃないけど。きっとしみじみしますよ。
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